「私は今の待遇に実に満足している。これ以上何も望みはしないのだよ」
「そうでしたか。こんな穴倉に閉じ込められて気でも狂ってしまった、とかじゃないっすよね? こんな薄ら寒いところで一生を終えるつもりですか?」
「ああ、そのつもりだ。ここの生活だって、住んでみれば悪くはないさ。どうだい? 君も?」
「いえ、私は遠慮させてもらいます。こんなじめじめしたところ、私は御免ですからね」
「ところで君はもう、ここへの出入りの許可を持っていないんじゃなかったのかね? 昇格したそうじゃないか?」
「流石に、お耳が早いですね~。はい、護廷十三隊の隊長の一員になりました。まだまだ新米ですけどね」
「それはおめでとう。これで君との接見も最後だろう? 何か一つお祝いに言葉を掛けてあげよう」
「貴方から何かお言葉をもらえるとは思ってもみませんでしたよ。そうですね。一言、『イエス』と言ってもらえませんかね?」
「今、私は何も持っていないからね。この監獄の中で、この足枷を付けて自由という言葉とは程遠い生活をしているものだからね。祝いといえども渡せる品がないのさ。だから、せめて言葉だけでも、と思ってね。で、何だい、その『イエス』というのは?」
「だから、ここじゃ何も弄るものさえなく貴方の能力を埋もれさせているわけっすよ。ですから、その眠っている力を少しわけちゃーいただけませんか? ねぇ、クロツチマユリさん?」
「わざとらしい。喰えない男だ・・・・・・」
PR